2020年2月27日木曜日

昭和時代のタッチで似顔絵のご依頼。

昭和時代から似顔絵描きをやってます、高橋エツコです。
おととい(2/25)、東京タワーならではの、ちょっといい話がありました。
いや「かなりいい話」です。

ご家族で揃って来店された男性のお客様が、携帯電話の写真を出して
「おととし、東京タワーで高橋さんにこんな似顔絵を描いて頂きました。覚えていますか?」


↑見たら思い出しました!

おととしの3月、
「自分が赤ちゃんの頃、東京タワーで似顔絵を描いてもらいました。
自分も結婚して子供ができたので、自分と同じ月齢の時に東京タワーで同じ人に描いてもらおうと思って来ました」と、こんな写真を持ってみえたお客様でした。

色紙に、輪郭線は薄めの墨汁で、顔彩か水彩絵具で着彩。色紙の隅に、東京タワーの記念スタンプが押してありました。
ザ・昭和時代の似顔絵!というタッチです。

「これを描いた似顔絵師さんは、昭和時代からタワーで似顔絵コーナーを営業してきた、漫画協団さんの人ですね。
残念ながら、その方は今日は、というか、現在は東京タワーに来ていらっしゃらないです」
と申し上げると、
「別の方でも構いません。似たようなタッチで、同じスタンプがあれば押してもらえたら…」とおっしゃるので、
漫画協団さんのブースに行き、その日の担当の方に、これと似たタッチでできるか、このスタンプはあるか、を尋ねたところ、
その方は「僕は筆で輪郭線を描かないので、高橋さんに描いてもらってください」との事。
スタンプはありましたが、何十年も使ったゴム印でかなり劣化してしおり、試しに押してもらったら潰れてしまって、使えない状態でした。

(これがそのスタンプ。お客様が帰られた後に、撮らせて頂きました)

私は普段、輪郭線を筆ペンで描いていますが、以前は筆を墨汁につけて描いていました。
墨汁も持っていましたので、スタンプの部分は写真を参考に手書きで再現する事にして、私が描かせてもらったのでした。

(これです。その時に撮らせて頂いた絵の写真を探したらありました)

…という事がおととし、2018年3月にありまして。そのお客様が
「その後、もう1人子供が生まれたので、
また下の子が同じ月齢の時に、同じ東京タワーで、同じ人に同じタッチで描いてもらおうと思って」、再び、いや三度めの東京タワーの似顔絵屋さんに来てくださったのです。
描かせて頂きました!


お父さんが11か月の時は、昭和。
上のお子さんが11か月の時は平成。
下のお子さんが11か月の時は令和。
…3つの元号をまたいでました!
ちょっと感動ものです。

折しも、今月末で似顔絵屋さんの営業が終了になる所で、その日は私のラストデー。
お客様も「自分、上の子、下の子が東京タワーで11か月の時に描いてもらえて、念願がかなって良かったです!ちょっと遅かったら、描いてもらえなかったかもしれないんですね…」と。
このミラクルに、驚きと喜びに浸りました(^ ^)

いま、コロナウイルス問題で、世間の人々が旅行や外出を控える中、
お子さんを連れてご家族揃って東京タワーに来てくださって…本当に嬉しかったです!
おととしに描いたお兄ちゃんも、すっかりお兄ちゃんになって…(じーん)
「似顔絵はやめないでほしいです。できればまた、東京タワーでやってほしいです。
その時は、家族でまた来ます!」というお言葉もいただきました。ありがとうございました!

東京タワーには昭和35年ごろから?50年以上、似顔絵屋さんが営業していましたから、
「東京タワーに行けば似顔絵がある」って思っている人、たくさんいると思うんですよ。
東京タワーには、似顔絵がないと淋しいです。

また東京タワーに、似顔絵屋さんが営業する日が来ますように。
そして、そこに自分もいられたなら嬉しいです。

チームタワーズは2006年4月にスタート、ほぼ14年近く、東京タワーで似顔絵屋さんをやってきました。
私がここのメンバーに加わったのは2007(平成19)年7月10日、約12年半やらせてもらいました。

私自身は、似顔絵の仕事は昭和時代からやってきました。
昭和天皇が崩御された日も、
2011年の大震災が起きた日も、
似顔絵を描いていました。
イベント自粛、震災による休業も経験しました。
きっとまた、どこかで、似顔絵描きとしてお客様とお目にかかれる日が来ると信じております。
描かせて頂いた全てのお客様に、感謝いたします。ありがとうございました!

いつまでもあると思うな親と仕事、
     ないと思うな運と災難。
ピンチをチャンスに変えるべく、頑張ります。

最後に…
昭和時代から50年以上、東京タワーで常設の似顔絵屋さんを営業してこられた「漫画協団」の皆さんにも、敬意を込めて感謝を申し上げます。
(私が東京タワーへ来るようになってから、ほとんどのメンバーが入れ変わりましたが…)
唯一、私がタワーに入る前からいる泉さんという長老的な先輩には、タワーでの色々な話を聞きました。営業場所も、これまでに何度も変わったそうです。
最後に、漫画協団さんで何十年も使われ続けてきた、似顔絵に押すスタンプの写真をお見せします。
手作りの木の箱に、スタンプとインクが入っていました。





インクの色が、黒から赤に変化したようです。
お疲れ様でした!

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